運輸安全委員会は、2018年6月29日に発生した、大韓航空機が成田空港着陸後に走行不能となった重大インシデントにおいて、車軸の腐食が原因で折損したと調査報告書で結論を出しました。
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仁川発成田行きKE703便(乗員乗客335名搭乗) 対象機B777-300型機は、成田空港B滑走路16L着陸後に誘導路を自走していたところ、成田グランドが他機より車輪から煙のようなものが出ているとの通報を受け、大韓航空機に停止するよう指示を出しました。
成田グランドは双眼鏡で同機の車輪を確認したところ、異常な方向に右主脚タイヤが向いていること確認し、同機はその後走行不能となりました。
運輸安全委員会及び運航者国である大韓民国の代表並びに設計・製造国であるアメリカ合衆国の代表及び顧問が参加した調査団は、損傷箇所を調査したところ、ピボット穴の内面に腐食を発見し、それを起因とする「応力腐食割れ」が発生し、割れがある状態のままで運航した事により車軸が折損したと推測されるとしました。
また主軸に亀裂が入った過去の事例により設計・製造者は2012年7月に応力腐食割れの再発防止策としてピボット部のブッシング(軸受)を組み付ける際に腐食防止剤を塗布するようにコンポーネント・メンテナンス・マニュアル(CMM)を改訂していましたが、対象機は2009年7月にオーバーホール(外注)を実施していたことから腐食防止剤の塗布はされていませんでした。(当時食防止剤は塗布することは明記されていない)
なお機長、副操縦士の口述及びFDRの記録から、同機の成田空港への着陸時にハードランディングは発生していなかったものと推定されております。
同社は、再発防止策としてコンポーネント・メンテナンス・マニュアル(CMM)が改訂となる以前にオーバーホールを実施した機体(7機)に対して車軸に損傷が無いか目視点検を実施。その後、上記7機すべての両側主脚後方の車軸(計14本)を交換したことが明らかにされています。
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