カタール航空のAkbar Al Baker CEOは、A350の塗装劣化問題により複合材に亀裂が入ったと主張し、現在もエアバスとの間で解決に至っていないことを明らかにしました。
カタール航空は、一部のA350型機において塗装の下地が早期劣化していることを確認したとし、現在同国航空局の指示の下に13機の同型機の運航を停止しています。また同型機の新造機の受領も拒否している状態が続いており、このような状況が影響し、機材不足となることからA380の運航再開を決定しています。
現在ボストンで開催されているIATAの総会において同CEOは、「塗装の問題が原因で、機体の耐雷性が低下し、複合材に亀裂が生じた」と主張をしており、現在もエアバスとは根本的な解決に至っていないと不満を述べています。対するエアバスは、同総会に出席しているGuilluame Faury CEOが「同型機が飛行できない理由はないが、エアバス社はカタール航空と友好的な解決に向けて努力を続けている」と述べています。
またエアバスとEASA(欧州航空安全局)は、実際にドーハにて問題があった機体を確認したことがわかっており、この検査において「航空機に耐空性の影響がないことが証明され、運航の継続が可能になった」と結論付けています。なおEASAは「劣化した塗装状態」を確認したとしましたが、航空機の耐空性に問題はないとしています。
このようなことから、エアバスはA350型機の塗装剥離および再塗装の方法について追加情報を提供しており、これ以上の介入は必要ないとしています。
これまでにこの問題が生じているのは、カタール航空のみであり、また運航停止を指示しているのもカタール航空当局のみとなっていますが、この問題がどのよう解決に向かうかは、注目に値します。
なおエアバスが開発を決定したA350Fのローンチカスタマーは、カタール航空であるとみられていますが、現在も顧客が明らかにされていないのは、この問題が関係しているとの指摘もあり、エアバスは非常に難しい対応を迫られることになります。Photo : Qatar Airways