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2021年6月に発生したカンタス航空のB787が車輪を格納できないトラブルはヒューマンエラーが原因

 2021年6月21日に、カンタス航空のシドニー発パース行きQF645便(運航機材:B787-9:VH-ZNH)で発生した車輪が格納できないトラブルの原因は、ヒューマンエラーであったことが明らかになりました。

 オーストラリア運輸安全局の報告によると、これは航空機が地上にいる場合に誤って車輪を格納するトラブルを防ぐためのダウンロックピンの外し忘れが原因であったと発表しました。


Photo : ATSB

 このトラブルは、離陸後上昇中に、パイロットがギアを格納しようとしたところ、どちらの主脚も正常位置まで格納されていないことを示す警告が表示されました。そのためトラブル対処のチェックリストを実行しましたが、解決できなかったため、同便はシドニー空港に引き返しました。

 その後の点検で、5本のランディングギアダウンロックピンのうち2本が取り外されていなかったことが判明し、このピンには「Remove before flight(飛行前に取り外す)」のタグが付けられていますが、離陸前の点検において、パイロット・ディスパッチクルーが見落としていたことがわかりました。


Photo : ATSB

 しかしながらこのタグには、擦り切れた痕など損傷が確認されたほか、湿った風により機体に付着し視認が難しかった可能性がありますが、少なくとも1本は吊るされた状態であったことが監視カメラの映像から明らかになっています。

 またそもそもの原因となる抜き忘れにおいては、B787型機のランディングギアのピンは、ノーズギアに1本、各メインランディングギアに2本の計5本ですが、カンタス航空が他に運用しているA330型機や737型機のピンは3本であることから、間違えたものと考えられています。事実、同機は出発前にゲートまでトーイングされてきましたが、このトーイング作業を行い、ダウンロックピンを3本抜いた2人の作業員は、B787のトーイングが初めてであったことが明らかになっています。

 このようなことから、カンタス航空は同型機のダウンロックピンが5本であることを周知したとしており、あらゆるヒューマンエラーが重なり今回のトラブルが発生してしまったことが明らかになっています。

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