2015年4月に起きた、アシアナ航空の広島空港での着陸失敗事故において、広島地検は、機長と副操縦を不起訴処分としたことがわかりました。
この事故は2015年4月14日に発生し、ソウル発広島空港行きOZ162便が着陸を試みたところ、視界不良であったことからゴーアラウンドを実施しようとしたところ、広島空港の航空保安無線施設に衝突した後、同滑走路進入端の手前に接地し、その後滑走路上を滑走し、滑走路の南側に逸脱し、同空港の着陸帯内に停止し機体が大破した事故となります。
≪広島空港の施設損壊情報≫
◆航空保安無線施設ローカライザーアンテナ架台が大破
◆航空灯火:簡易式進入灯の灯火(15個)及び支柱破損広角進入灯の灯火(2個)及び支柱破損滑走路灯、滑走路中心線灯及び過走帯灯の灯火各1個が破損
◆滑走路面:複数箇所に擦過痕
Photo :JTSB
この事故においては、乗客26名及び客室乗務員2名の計28名が軽傷を負い、操縦ミスがあったとして、業務上過失傷害と航空危険行為処罰法違反容疑で韓国人の機長と副操縦士が書類送検されていましたが、両操縦士は不起訴処分となります。
運輸安全委員会の発表では、機長が、進入限界高度(DA)以下の高度において、目視物標を引き続き視認かつ識別することによる当該航空機の位置の確認ができなくなった状態でゴーアラウンドすることなく、降下して進入を継続したこと、及び、PM(PilotMonitoring)として気象状況及び操縦をモニターすべき副操縦士が、進入限界高度で滑走路が見えない状況になったとき、直ちにゴーアラウンド・コールをしなかったことが事故原因としています。
またこの事故により運輸安全委員会は、韓国の韓国国土交通部に対してアシアナ航空に以下の安全勧告を行っています。
(1)会社手順及び運航乗務員の訓練について再検討した上で、運航乗務員に対して規定の遵守の重要性を再強調すること。
(2)進入限界高度未満への進入においては、あくまでも目視物標を主たる参照としなければならず、計器は補助として適切に使用することを教育及び訓練を通じて徹底すること。