エミレーツ航空のTIm Clark CEOは、同社の現状についてAirline ratingsに語り、B777はフル稼働し、一部のA380については、座席を取り外した一時的な貨物機化を検討していることを明らかにしています。
現在同社は、合計269機を保有し、A380は117機、B777は貨物機専用機11機を含み151機となっていますが、A380は4~5機が稼働し、B777に関しては全機が稼働している状態で貨物収入が収入基盤となっているとし、旅客事業の収入は昨年の18%に過ぎないとしています。
またB777に関しては、貨物専用機での運航、通常便(旅客+貨物)、座席を取り外した貨物便の運航の計3形態での運用になっているとし、B777-300ERにおいては、オプションで後部貨物ドアを大型にしていたことから、貨物パレットを搭載でき貨物需要に柔軟に対応できたとしています。なおこのような運用を成功させたことから、B777の運用に限れば、現在の収益はプラスであるとしています。
またA380についても、客室部から座席を取り外して貨物を搭載できるようにし、数機の一時的な貨物機化を検討しているとしていますが、A380を貨物機化した場合、客室部にカーゴドアが無いことから、貨物を搭載するのに20~30人の人手が必要となるほか、貨物を固定する手間など大掛かりな業務となり、ターンアラウンドタイムも2倍になることが問題であるとしています。
そして今後について同CEOは、A380がパンデミック後も需要がある機材であると確信しているとし、遅かれ早かれ以前のような活躍を見ることができるだろうとコメントしています。また、世界経済は非常に回復力があるもので、これまで何度も大きな打撃を受けたにも関わらず、常に立ち直ってきたとし、今後の需要回復に期待を示しています。
なお同CEOは、現在緊急事態ということで2020年6月末に予定していた退任を延期としており、現時点で来年のある時期までの任期があることを明かしていますが、時が来たら立ち去るべきとしており、早ければ来年にも退任する可能性があります。同氏は、エミレーツ航空を世界有数のエアラインに成長させるなど多大な功績を残した人物であり、以前の計画ではアドバイザー(顧問)として同社に留まる予定となっていました。Photo : Emirates