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エミレーツ航空が住宅地上空を低空飛行したトラブルが重大インシデントに認定

 2021年12月20日、エミレーツ航空が運航したドバイ発ワシントン行きのEK231便において、住宅地上空を低空飛行したトラブルが重大インシデントに認定され、初期報告書が公開されました。

 該当機(A6-EQI)は、4名のパイロットと14名の客室乗務員を含む372名を乗せ、ドバイからワシントンに向かうためドバイ空港を離陸しましたが、離陸後適切に上昇せず住宅地エリアを時速400km以降で175ft(約53m)で通過したもので、危うく高層ビルがあれば激突していた事案となります。

 今回公開された報告書では、当初報道にあった高度よりも高かったものの、異常な低空飛行に変わりはなく、アラブ首長国連邦の航空事故調査部門(AAIS)は、重大インシデントに認定し、現在乗務員から聴取を行い、トラブル原因の調査を開始しています。

 これまでのところトラブルの原因は、フライト・ディレクター・システム(オートパイロットを制御するシステム)で離陸後最初に上昇する高度を本来の4000ftではなく、0ftに設定し、パイロットが出発時に設定の間違いを見落としていたことがトラブルの起因になったとみられていましたが、報告書では、パイロットは、間違いに気付き修正を行ったと証言し、フライトレコーダーでも確認がとれたとしています。

 またパイロットは、離陸後フライトディレクターの指示に従ったまでと述べており、AAISは今後更なるレコーダーの解析により原因を究明する予定です。なお離陸時の機首上げの動作が適切に行われず、フライトディレクターの指示に従い続けたことも不可解であるとされており、今後この点においても調査が行われる模様です。なお調査においては、ボーイングと米国運輸安全委員会の代表者も加わっています。Photo : Emirates

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