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中部国際空港、第2滑走路の建設に向けて環境アセスメントの手続きを開始

 中部国際空港/セントレアは、第2滑走路建設に向けた環境アセスメント(環境影響評価)の手続きを開始を開始しました。

 まずは初期段階となる計画段階環境配慮書をとりまとめており、今後は方法書、準備書、評価書の作成を順次進める手順となります。

 今回の配慮書においては、現在、中部国際空港は滑走路が1本であるため、以下のような様々な課題があるとし、滑走路の増設によりこの課題が克服できるとしています。

【課題1】完全24時間運用の実現(滑走路メンテナンス時間の確保) メンテナンス作業には、週10時間程度の時間確保が最低限必要となるが、コロナ禍前の2020年1月には、週11時間程度しか確保できないなど、深夜早朝時間帯に発着する航空機の増加に伴い、メンテナンス作業の時間確保が難しくなってきている。

 今後、国際貨物便のさらなる増便に対応し、国際物流基地としての拠点性の強化を図るとともに、旅客便等の運航ニーズに柔軟に対応していくためには、メンテナンス作業時間に捉われないで発着できる完全 24 時間運用の実現が不可欠であるとし、滑走路が2本あれば、完全24時間運用を実現することができ、深夜早朝時間帯における運航ニーズにも対応することが可能となる。

【課題2】現滑走路の大規模補修への対応 中部国際空港の滑走路は、2022年2月をもって開港から17年が経過した現在も、滑走路の路面は健全ではあるが、アスファルト舗装の材料劣化が進んでおり、近い将来に、材料劣化の進展などに伴う舗装の破損を予防するため、舗装面を全面的に切削し再舗装する大規模補修の実施が不可欠である。


【課題3】不測の事態による滑走路閉鎖リスクの回避 航空機が何らかのトラブルにより滑走路上で停止した場合や、落雷等により滑走路に何らかの不具合が発生した場合には、復旧までの間、滑走路は閉鎖を余儀なくされるものの、滑走路がもう 1 本あれば、引き続き、航空機の発着は可能となり、空港としての機能を果たすことができる。

【課題4】災害時におけるバックアップ機能の強化 首都圏や関西圏において大規模災害が発生し、成田国際空港や関西国際空港といった国際拠点空港の運用に支障が生じた場合に備えて、それらの空港を代替できる機能を強化しておくことは、我が国の国際競争力を維持する上で大変重要である。

【課題5】リニア中央新幹線等の整備効果の向上 2027年に予定されるリニア中央新幹線の名古屋開業により、名古屋
と東京は約40分で結ばれ、中部圏と首都圏との往来がしやすくなる 。また、同年には、名古屋高速道路や伊勢湾岸道路と接続する西知多道路が整備され、中部国際空港へのアクセス性が向上するとともに、定時性・信頼性が向上する 。これらの開業に合わせて、中部国際空港が国際拠点空港として相応しい機能を備えることにより、リニア中央新幹線及び西知多道路の整備効果を高めるとともに、その効果を地域に取り込んでいくことが重要である。

 このような課題のもと、同空港は3,290mの滑走路を新設する2案をまとめており、大規模改修後に新設滑走路を撤去する案と2本体制とする案となっています。

この2案を比較し、各案の上記課題への評価が以下の通りです。

Photo : 中部国際空港

 また航空機の運航に伴う騒音(航空機騒音)による影響に関して、案1では滑走路を現滑走路との中心線間隔で 112.5m 東側に整備する。案2では滑走路を現滑走路との中心線間隔で 210m 東側に整備する。そのため、航空機騒音の影響範囲もそれと同程度東側に広がる可能性がある。新型コロナウイルス感染症収束後の航空需要の増加に伴う発着回数の増加が想定され、現在のL den 57dB の範囲より広がる可能性もあるが、中部国際空港は航空機騒音に配慮して常滑市沖合の海上に建設された空港であり、滑走路の整備後も航空機の飛行経路は現在と同様の伊勢湾上空に設定されることを勘案すると、いずれの案でもL den 57dB の範囲は海上に留まることが見込まれ、両案の影響に著しい差はないと考えるとしています。

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