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シンガポール航空の2022年10月に起きたロンドン発シンガポール行きのトラブルはラストチャンスでの着陸であったことが明らかに

 シンガポール航空の2022年10月に起きたロンドン発シンガポール行きのトラブルは緊迫した状況であったことが、 シンガポール運輸安全調査局(TSIB)の最終報告書から明らかになりました。

 このトラブルは、シンガポール航空のB777-300ER(9V-SWH)で運航したロンドン発シンガポール行きのSQ319 において、インドネシアのバタム空港に、残燃料不足で緊急事態を宣言して着陸したものとなります。

 当時同便は、緊急時の代替空港をシンガポールのパヤレバー空軍基地とマレーシアのスナイ国際空港を設定していましたが、シンガポールのチャンギ空港への着陸が迫った頃に、この3空港が悪天候により着陸できない状況がであったことから、空港周辺で旋回を行い、到着空港の天候回復を待ちました。

 その後天候の回復しなかったことから、パイロットは当時着陸コンディションが良好であったバタム空港へのダイバートを検討し始めましたが、最終的にチャンギ空港への着陸を再トライする決定をし更に旋回を続けましたが、その後チャンギ空港をはじめとする3空港も天候の回復が望めなかったことから、バタム空港に向かうことを決断しました。

 しかしながら、パイロットが旋回継続を判断した以降から、急速にバタム空港の天候は悪化し始めており、同機がバタム空港に着陸を試みた際には、着陸コンディションは非常に悪い状況へと変わっていました。

 このようなことから、同機は2回ゴーアラウンドを実施することになり、管制官は着陸滑走路の04の視界が低下したことから、着陸滑走路を22へ変更することを提案しましたが、パイロットは燃料が足りないとし、次の着陸で成功させなければならないと管制官に伝え、追い風10ノット以上での着陸は避けるという同社の社内規定での推奨に反し追い風15ノットでの着陸を行いました。

 まお同便は無事着陸しましたが、最終予備燃料の3,024kgを大幅に下回っていたことがわかっており、TSIBは、このトラブルの原因の一つがチャンギ空港への着陸に執着したことが一つと指摘しています。

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