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ヴァージンオーストラリア航空の日本撤退による羽田スロットの行方 カンタス航空の獲得が有力か

 先日ヴァージンオーストラリア航空は、東京/羽田~ケアンズ線を2025年2月24日の運航をもって運休し日本路線から撤退することを表明しましたが、今後のこのスロットの行方が注目されています。

 現在同社は、羽田空港の運航スロットを週7便保有していますが、今後は新路線を開設しない限り、運航権を失うことが確実となっています。

 現在までに考えられるシナリオは、新たにワイドボディ機を導入して新路線を開設すること、あるいはスロットを返還することになりますが、現時点において同社はワイドボディを導入する動きがないことから、後者となる可能性が高いとみられています。

 今後このスロットが再配分に至る場合は、路線運航可能とみられるエアラインがカンタス航空グループのみとなることから、現在の運航体制を考慮するとカンタス航空が取得する可能性が高いと考えられ、既存の東京/成田~メルボルン・ブリスベン線のいずれかが移管される可能性が高いと考えられます。

 同社の羽田空港のスロットにおいては、2020年の羽田空港の国際線発着枠の拡大に伴い、オーストラリアに新規に割り当てられた発着枠を、カンタス航空との熾烈な争い経て、1往復分を獲得し東京/羽田~ブリスベン線を開設し日本に初乗り入れする計画でしたが、新型コロナウイルスの影響を受け、就航できず急速な業績の悪化により事実上の経営破綻に陥りました。

 その後経営再建計画の一環として長距離線用の機材(A330、B777)を手放すことを決定し、羽田線の開設は構想外となったとみられていましたが、同社は路線変更申請を行いナローボディ機で羽田~ケアンズ線を開設しました。

 このように同社が羽田空港のスロット維持に努めたのは、羽田空港のスロット価値が高いことから、IPOや会社売却の可能性などを考慮したものとされていましたが、最終的には採算性が合わず、中長期的にもワイドボディ機を導入しない計画であることから返還するものとみられます。なおこれまでの情報では、羽田~ケアンズ線の搭乗率は6割程で推移していたとみられています。

 前述の通り、今後カンタス航空がこのスロットを獲得することは確実とみられていますが、今後大型機材導入などの何かしらのサプライズがあれば大きな話題となりそうです。Photo : Virgin Australia

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