オーストラリアの競争当局(ACCC)は、カンタス航空とJALの間で提案されていた共同事業案を却下しました。
同局は、この共同事業は、日豪路線の競争が失われ利用者に不利益をもたらすとの判断を下し、航空会社間の競争を維持することは、国際的な旅行規制が緩和された後、航空・観光分野の長期的な回復の鍵となるとしています。なお今後については、公共の利益が競争への害を上回ると納得した場合にのみ、競合会社間の合意を認可することができるとしています。
パンデミックが発生する前年となる2019年、カンタスとJALは2社で、オーストラリアと日本を行き来する乗客の約85%をシェアを確保していました。ACCCによると、最大の利用路線であるシドニー~東京間の路線では両社は競争相手であり、2番目の需要路線であるメルボルン~東京間の路線を運航している唯一のエアラインでしたが、仮に共同事業を認可した際は、カンタス航空とJALの競争をなくすだけでなく、他の航空会社が日豪間の路線に就航することを非常に困難にすると結論づけています。
またヴァージンオーストラリア航空は、「個々の競合航空会社としてではなく、共同体となるカンタス航空とJALとの競争が求められるならば、日豪路線への参入はより困難になる」とACCCに嘆願したことを明らかにしています。
今回の決定を受け、カンタス航空とJALは失望を表明しており、ワンワールドのパートナーシップを継続するものの、「共同事業の下で可能だったであろう同じ利益を提供することはできない」と述べています。
また、共同事業が認可された際には東京~ケアンズ線に就航をすことを掲げていましたが、これも実現しないとの見通しを明らかにしていますが、ACCCはカンタス航空単体で路線開設は可能と考えているとし、既に傘下のジェットスターは2022年2月からの運航再開を検討していることを指摘しています。
今回の決定を受け、カンタス航空とJALは事業戦略を見直す可能性が生じていますが、一時計画が白紙となったとみられたヴァージンオーストラリア航空の日本路線の参入の現実味は上昇しています。