エミレーツ航空のTim Clark 社長は、海外紙Airline ratingsのインタビューに応じ、今後導入予定の機材において大きな懸念があることを明らかにしました。
現在同社は、50機のA350-900型機、30機のB787-9型機、115機のB777Xを発注し、2023年からA350とB787の受領を開始し、B777Xは2024年から受領を開始する予定となっています。
しかしながらこのスケジュールに、懐疑的な見方をしているとし、現在ボーイングが抱えるB787の品質問題やカタール航空が訴えているA350の塗装劣化問題を注視しているとしています。
まず、B777Xに関しては、当初2020年4月に納入される予定のものがここまで遅延している状況であることに不満を示し、ボーイングには既に生産されたB777-9型機が12機ありエンジンなしで保管されていますが、FAAとEASAの要求する認証の問題や改善作業があるため納入の見通しがたっていない状況であるとしています。
このようなことから、ボーイングにこれまでの予定となっている2023年7月の認証に目処はついているのか尋ねると、『はい、条件付きです』という答えが返ってきたとし、仮にこのスケジュールよりも遅れる際は、キャンセルすることになるだろうとしています。またB787型機に関しては、現在の品質問題による納入停止により、バックログを見る限り明らかに納入が間に合わないとの見方を示しています。
そしてA350に関しては、もしカタール航空が主張する問題が自社の航空機で確認できた場合は、受領しないことをエアバスと確認したとし、カタール航空CEOは、真偽は不明だが納入されていない航空機の中にも、そのような問題の兆候が見られると伝えてきたとしています。
これに関してエミレーツ航空CEOは、カタール航空CEOは私たちと同じで、完璧なもの以外は認めないということを、私たちから学んだのだろうと述べています。
そしてエアバスに対しては、明らかに、紫外線や温度など、何らかの影響を及ぼす可能性があることを見誤っていたのだと考えられるとし、できるだけ早く解決しなければならないとしています。なおB787でも同じような問題がありますが、エティハド航空の主翼などにおいては、それほどひどくはないことから、エアバスもこの問題にいずれ対処できるようになるとの見解を示しています。
そしてエミレーツ航空社長は、我々は787や777-9をキャンセルしたいわけではなく、あくまで機体が欲しいだけであるとし、再三の納入延期により、保有機材の運用期間の延長など機材計画が難しい状況となっていることに不満を示しています。Photo : Boeing