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エミレーツ航空社長、エアバスに新技術を導入したA380型機の製造を提案

 エミレーツ航空のTim Clark社長は、今後の航空需要の展望について語り、引き続きA380クラスの大型機の必要性を訴えると共に、エアバスには新技術を導入した同型機の製造を提案していることを明らかにしました。

 これはCNNのインタビューに応じた同社長が明らかにしたもので、今後コロナから航空業界が脱却すると再び年率約4.5%で航空需要が増加していくことが予想され、大型機なしにこの需要に応えるのは難しいとの見解を示しています。

 また現在は多くのエアラインがB787やA350型機で多頻度運航をしているものの、ヒースロー空港では第3滑走路の協議が難航していることや、スキポール空港では発着制限がかかっていることなどを例に挙げ、多くの空港で受け入れ整備が進んでいないことから、このようなビジネスモデルには限界がくるとの見解を述べています。

 また自社がロンドン/ヒースロー線をA380型機で1日6往復で運航している状況でほぼ空席が無い状況であることも明かし、今後B777Xに置き換えた場合、座席数が484人から364人へ減少し、航空運賃の上昇を招くことになるとしています。

 このようなことから、同社長はA380クラスの大型機が必要であるとし、これまでにエアバスとは何度も協議や提案をしているとし、実際に新技術を搭載したA380型機の開発は十分可能であるとしています。

 具体的には、同型機が開発された時代においては、最新鋭機に搭載される炭素繊維が採用されていないことから、仮にこの技術が採用されると、大幅に軽量化することができ燃費性能が向上するとしています。

 また現在研究が行われ、今後エアバスが試験を実施するオープンファンエンジンは、一見プロペラのように見えるが、現代のジェットエンジンに搭載されているファンを大きくし、ダクトをなくしたもので、新しいタイプのエンジンとして最も有望視されており、燃料消費と排出ガスを20%も削減することが期待され、この技術が採用できればA380の欠点を克服できることになるとしています。

 世界がA321XLRなどのナローボディ機の長距離化が進む中、同社長は一貫して大型機の必要性を訴えており、果たして10数年後の航空業界はどのような問題に直面することになるのか今から気掛かりとなります。Photo : Emirates

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