FSC 機材 航空ニュース

エアバス、A350型機の塗装劣化問題の裁判においてカタール航空の目的は『金銭』であると主張へ

 エアバスは、現在カタール航空との間いで争いとなっているA350型機の塗装劣化問題において、法廷でカタール航空は金銭目的でこれまでの主張を展開していると主張することがわかりました。

 これは裁判が行われるイギリスのFinancial Timesが報じたもので、カタール航空は、パンデミックにより大きな損害を被ったことから、その穴埋めとして補償を得ようとする金銭目的で、これまでの主張を展開したとの内容の答弁書を提出する予定であるとしています。

 この問題は、カタール航空が保有するA350型機において塗装の下地が早期劣化し、カタール航空側は耐空性の安全が保証できないとの立場で、エアバス側は耐空性に問題はないとして、両社が対立し今後法廷で両者が真っ向から法廷闘争に突入するものとなります。

 現在カタール航空は、約720億円+運航停止期間1日毎に400万ドル(約4億6,000万円)を加算する損害賠償を請求しており、エアバスは不正確な発言を継続することは容認できず、自社のこれまでの主張に正当性があることを第三者に判断を委ねるとして今後裁判が開始される予定です。

 既に両社の関係は、取り返しがつかない段階にまで悪化しているとされ、エアバス側はカタール航空の発注をキャンセルしたほか、カタール航空側もエアバスを罵るような発言をしている状態となります。

 ここまでエアバスがこの問題に敏感なのは、今後もA350型機が自社の主力機であるのと同時に、今後開発予定でボーイングの牙城を切り崩し、貨物機市場で大きな転換期になると見込み社運をかけて投入する機体のベースがA350型機であることが影響しているとみられ、悪評を流されることは断じて許せず、カタール航空との関係を断ち切ってでもA350の品質の正当性を主張したいとみられています。

 なおこれまでに欧州当局(EASA)も問題が無いとしているほか、同型機のオペレーターであるルフトハンザドイツ航空・フィンエアーは、同様の症状がみられたが外観上の問題で飛行性能には問題が無いとの立場を示し、事実上問題提起しているのは、カタール航空とカタール航空当局のみとなります。

 これまでにもメーカー側とエアライン側が対立することは、散見されましたが、ここまで状況が悪化するケースは極めて稀となり、今後の裁判の行く末と今後の両社の関係がどのようなものになっていくのか注目です。Photo : Airbus

【注目】エアバス『もう容認できない』カタール航空が主張する塗装問題に対して法的措置を実施へ

エアバス、カタール航空発注の50機のA321の契約破棄に続き2機のA350-1000型機の発注も取り消し

【続報】カタール航空、エアバスの対応に不満を示し“ボロボロ”のA350の姿を公開し正当性を主張《動画あり》