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航空界最大の団体となるJFASが羽田空港での衝突事故で緊急声明 警察主導の事故調査に危機感

 航空界最大の団体となるJFAS/航空安全推進連絡会議は、2024年1月2日に発生したJAL機と海保機が衝突した事故において緊急声明を発表しました。

 同団体は、パイロット・管制官・気象予報官・客室乗務員・整備士・グランドハンドリングなど民間航空のあらゆる職場に働いている42組合、10,100名が所属し、航空の安全を最大の課題にし、事故の撲滅を図ることを目的とする航空界最大の団体となります。

 今回同団体は、羽田空港で発生した事故は、残念ながら航空安全が道半ばであることを示すと共に、運輸安全委員会による慎重かつ正確な事故調査が実施されるべきであることは言うまでもないとし、憶測を排除し、事実認定のみが唯一かつ最優先であることを正確に理解する必要があるとしています。

 そしてそれを実現するため、報道関係者、SNSで情報発信する人は、今回の事故について憶測や想像を排除し、正確な情報のみを取り扱うことを望むとしています。

 また警察主導で事故調査が進むことに危機感を示しており、以下の声明を出してます。

日本国内で航空機事故が発生した場合、警察が事故原因を特定することを目的として捜査することが通例になっていますが、これは国際民間航空条約(ICAO)が求める事故調査ではありません。

これまで日本において発生した航空機事故を警察が調査したことにより、事故の原因究明に大きな支障をきたしたという事例はいくつもありました。警察による調査はあくまでも犯罪捜査であり、事故原因を究明するための調査ではないのです。

航空機事故の発生原因には複合的な要因が潜在しているため、事故原因を調査し再発防止に努めるという考え方が ICAO Annex13 の原則です。その理由は、航空機事故の原因を特定することで更なる事故の防止に寄与するという考え方が存在するからです。従って、ICAO に批准している日本は、その真意を正確に理解し、遵守することが求められます。

また、日本では、運輸安全委員会の事故調査結果が刑事捜査や裁判証拠に利用されています。これらの行為は、明らかな犯罪の証拠がある場合を除き、調査結果を利用することを禁止する国際民間航空条約(ICAO)の規定から逸脱した行為であり容認できるものではありません。

今般の航空機事故において最も優先されるべきは事故調査であり、決して刑事捜査が優先されるものではないこと、またその調査結果が、再発防止以外に利用されるべきではないことをここに強く表明するものです。

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