現在エアバスが2025年の納入を目指して開発を進める貨物専用機のA350Fのセールスポイントを、同社の貨物部門責任者のCrawford Hamilton氏が海外紙に対して語っています。
このA350Fは、長年ボーイングの牙城となっている貨物機市場において、それを切り崩すことが期待され、今後貨物市場におけるエアバスの主力機となる機材となる予定です。
同氏は、A350Fの開発構想は10年前からあったものであるとし、様々な顧客からのヒアリングにより設計が決まり、その声に応えた仕様となったとしています。
その中でも大型化が進むエンジンを完全に組み立てが完了した状態で輸送できることが重要なポイントであったとしており、その要望に応えるために幅4.2メートル、高さ3.7メートルのカーゴドアを採用したとしています。なおこれはボーイングが開発を進めてB777XFの幅3.72メートル位×高さ3.05メートルよりも大きいものとなり、貨物機として最大のカーゴドアとなります。またこのカーゴドアの大きさにより、貨物の積み込みの効率が図られ、ターンアラウンドタイムの短縮が実現できるとし、これもオペレーターとって大きな魅力の一つになるとしています。
このほか先日生産が終了したB747-8Fについても言及しており、同型機の最大の特徴であるノーズドアローディング(ノーズ部分を折り畳み貨物を搭載)は、特定の非常に長い貨物を積み込むことができるものの、使用率は1%未満であるとしており、今日では重要性は低下してきたとしており、A350Fでほぼ需要は賄えるとの認識を示しています。
このようなセールスポイントを持つA350Fですが、新規発注の顧客数は順調に獲得しているものの、機数においては大型発注は獲得できていない状況となり、各エアラインはまだA350Fは様子見といった状況で、貨物機の信頼性はボーイングが優勢である状況です。今後は実機の完成などにより、大型受注を獲得できるかが同型機にとっておおきなポイントとなり、数年後貨物機市場でA350Fがどれだけ存在感を放っているのか注目です。Photo : Airbus