エアバスが本格的な貨物機市場に進出する機材としてA350Fの開発を昨年発表したのに続き、先日ボーイングは、新型貨物専用機としてB777XF(B777-8F)の開発を正式発表しましたが、この2機種を簡単ながら比較します。
エアバスは、昨年時点でA350FがB777Fを上回り双発貨物専用機で最大の貨物積載量を誇る事になることをアピールしましたが、今回ボーイングが発表したB777XFは、A350Fを超える積載量となり、再び双発貨物専用機の最大積載機種はボーイングの機材となります。なおB777XFの積載量はB747-400Fと同等なり、燃費、排出ガス、運航コストは同機より25%向上しています。
まず777-XFの全長は70.9m、エアバスA350Fは70.8mで、両機の全長の差はわずか10cmです。また翼幅は、B777XFが64.8/71.8m(地上折畳時/飛行時)、A350Fが64.75mとなり2機の翼幅もほぼ同じとなります。重量はボーイングのデータが未発表であることから比較できませんが、A350Fの方が炭素繊維の使用量が多くなることから、軽くなるとみられています。
そして最も重要な貨物量に関しては、B777XFの構造上の積載量は118トン、そして実際に可能となる積載量が112.3トン、A350Fの構造上の積載量は109トン、そして実際に可能となる積載量は未発表ながら約100トンになると見込まれています。
続いて航続距離については、B777XFが8167kmでA350Fが8700kmとなりカタログ上A350Fに軍配が上がりますが、この航続距離関してボーイングは地元紙に対して、この航続距離は貨物満載時の数字であり、仮にB777XFがA350Fの最大積載量で飛行した場合、A350Fよりも航続距離は伸びると主張しています。
現時点では、初号機の納入は、A350Fが2025年、B777XFは2027年となる予定ですが、今後大型貨物機の争いは間違いなく両機の一騎打ちとなります。
ただ性能面では類似し決定的な差がないことから、今後は価格面や維持コストが重要になるとみられ、多くのエアラインが迷うことになりそうです。ただ両機種ともベースとなっている旅客型において問題を抱えており、A350に関してはカタール航空が主張する塗装劣化問題、B777Xに関しては開発遅延があることから、今後これらの問題が影響していくものと考えられます。
現在貨物機市場の90%以上をボーイング機が占める状態となっていますが、果たしてエアバスはこの牙城をA350Fで切り崩せるのか注目となります。
なおこれまでにB777XFは、カタール航空が最大50機の導入、A350Fは、エアリースコーポレーションが7機、エールフランスKLMグループが最大4機、シンガポール航空が最大7機、CMA CGMエアカーゴが最大4機導入する予定となっています。